イノベーション
1926
大正15年
全自動籾すり機
井関は、籾すり機から始まった
井関農機の創業者・井関邦三郎は、1899年に愛媛県北宇和郡三間町で代々続く農家に生まれました。農作業の大変さを幼少から見て育ち、その苦労や重労働を骨身にしみている故に、「農家のための機械づくり」の道を決断しました。1926年松山市内に「井関農具商会」を構え、当時としては画期的な全自動選別機に籾はぎ機をつけた「全自動籾すり機」を開発し、技術の井関をスタートさせました。
1961
昭和36年
モペット・タフ50型
新ジャンル「モペット」に挑戦
当社は新しいジャンルへの挑戦として、「空・水冷エンジン」を搭載したモペット※を川崎航空機工業と共同で生産開始しました。1961年に「ヰセキ式モペット・タフ50型」(排気量50cc)を発表、登坂力に優れていたため、山坂の多い農村部での利用が期待されましたが、1965年、販売台数約2万台で販売を終了しました。
※ 「モペット」とは、自転車にエンジンを付けたタイプの乗り物のことをいいます。
1963
昭和38年
トラクタの開発生産
ポルシェ・ディーゼル社との技術提携
農業経営の規模拡大が図られる中、大型トラクタ等は外国製の輸入品であったことから、日本の実情に合ったトラクタを開発しようと外国メーカーとの提携を模索していました。そうした背景があり、設計思想に優れ、技術的にも水準の高いポルシェ・ディーゼル社との技術提携を締結しました。ポルシェの優れた設計思想は、その後の当社のトラクタ開発に生かされています。
1967
昭和42年
TB20型
富士山登頂でトラクタ真価を発揮
京都大学農学部トラクタ研究会のメンバーが、「高所におけるエンジン性能」「傾斜角と走行性の関係」を研究するため、TB20型を使用して富士山登頂を試みました。台風の間隙をぬっての登山ではありましたが、故障、その他の事故もなく見事に登頂を果たしました。この一件により、機体の前後のバランスの良さなど、同機の高い性能が再評価されました。
1987
昭和62年
ロータリー植込み装置
(田植機)
時代を変えたロータリー植込装置
乗用田植機の誕生により操作性・居住性が大きく改善された当時、能率面では歩行型田植機の変わりがないことが課題となっていました。ロータリーによる植付部のスピードアップは、植付けの爪角度に問題があり、実用化は不可能だと思われていましたが、当社の技術の集大成によりその難題を解決し、商品化を成功させました。従来のクランク式植付方法と比較し約1.3倍の能率を実現し、水稲農業の生産性向上に大きく貢献しました。
2003(平成15)年に「全発明表彰 発明賞」を受賞しました。
1999
平成11年
ズームオーガ
(コンバイン)
世界初のスイング&ズームオーガを開発
コンバインの籾排出用のオーガを伸縮自在とし、コンバインの機体を移動させることなく容易に排出口の位置合わせができる装置「スイング&ズーム」オーガを発表。高能率な籾の排出作業を実現しました。
スイング&ズームオーガは「四国地方発明表彰 発明協会愛媛県支部長賞」を受賞しました。
2013
平成25年
夢ある“農業女子”
応援Project
夢ある“農業女子”応援Projectをスタート
農林水産省「農業女子プロジェクト」において、農業女子が抱える体格差などの悩みや課題に注目して開発した農業機械。これまでトラクタ「しろプチ」、ミニ耕うん機「ちょこプチ」、歩行型草刈機「プチもあ」を商品化しました。女性にとって使いやすい機械は、多くの方にとっても使いやすい機械となりました。近年は、男女の性差やジェンダーを考慮することで新たな革新を生み出す「ジェンダード・イノベーション」の取り組みとしても注目されています。
2016
平成28年
可変施肥田植機
(NP80-FV)
7年を経て実用化した可変施肥田植機の開発
稲の倒伏に悩む生産者の声をきっかけに、生産者・行政・研究機関・当社等が共同で開発。2009年にPZ60が母体である試作機第一号が完成し、5mごとに電気抵抗値を計測しながら土のサンプルを採り分析するなどの基礎試験を積み重ねました。2012年の試作機第二号の完成により商品化の目途が立ち、2015年に試作機第三号を用いて全国規模での実証実験を実施しました。そして2016年に開発期間7年の歳月をかけて農業に携わる多くの方々の「想い」と井関のモノづくりへのこだわりがつまった可変施肥田植機が商品化しました。
2016年(平成28)年に「第7回ロボット大賞 優秀賞」を受賞しました。
2016
平成28年
世界初自脱型
コンバインHD50
「戦後日本のイノベーション100選」に選出!
自脱型コンバインと田植機が公益社団法人発明協会「戦後日本のイノベーション100選」に選出され、コンバインの解説に井関の取り組み(世界初自脱型コンバインHD50)が紹介されました。
<発明協会発表選定内容より抜粋>
・2つの発明がなければ、あれほど短期間に農村労働力が都市に集中することはなく、高度経済成長もあれほど迅速には進まなかったであろう
・かつての稲作、特に田植えと稲刈りは過酷労働の連続で、農家の人々が健康を害することが多かった。田植え、収穫作業の機械化は長年にわたる農家の夢